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緑内障の目薬に副作用はある?治療で用いられる目薬の特徴やその他の治療方法を紹介

目の検査

現在、緑内障などの眼病に対する治療方法は複数の選択肢があり、病状や目の状態などを加味して最善の治療方法を選択します。

緑内障になった際の治療方法の選択肢として、最初に挙げられるのが目薬です。

緑内障治療に用いられる目薬にはさまざまな種類があり、それぞれ点眼回数や副作用が異なります。

この記事では、緑内障とは何か、緑内障の治療で用いられる目薬の種類と副作用、目薬以外の治療方法を紹介します。

緑内障になってしまい、自分に合う治療方法を探したい方、どのような治療方法があるのか知りたい方はぜひ最後までご覧ください。

緑内障とは

緑内障は、急激な眼圧の上昇や長期間高い眼圧に晒されることによって視神経に傷が付くことで、視野が狭くなったり視力が落ちたりする病気です。

緑内障は、患者数の多い病気であり、日本の失明原因1位の病気にもなっています。

現在の医療技術では傷ついた視神経を回復させることは不可能であるため、一度緑内障になってしまうと完治させることはできません。

基本は、症状がこれ以上進行しないように治療を行うことになります。

緑内障の進行はゆっくりで、自覚症状が現れるのは病状がかなり進行してからです。

初期段階での自覚症状はほとんどないため、早期発見するためには定期的な眼科健診が必要です。

緑内障の発症率が上がる中高年以降は、定期的な眼科健診の受診をおすすめします。

緑内障治療で用いる目薬の種類と副作用

緑内障の治療には目薬がよく用いられます。

緑内障には大きく開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障の2つがあり、どちらの緑内障かによって治療方法が異なるため、自分はどちらの緑内障なのか事前に知っておきましょう。

隅角(ぐうかく)とは、角膜と虹彩が出会う場所であり、房水が眼外へ排出される排水口でもあります。

隅角が狭いまたは閉じている閉塞隅角緑内障の場合は目薬ではなく、レーザーなどの手術で治療を行う場合が多いです。

一方で、隅角が開いているタイプの開放隅角緑内障はこれから紹介する目薬が治療方法として用いられています。

ここでは、よく開放隅角緑内障に用いられる目薬5つの特徴や副作用について紹介します。

プロスタグランジン関連薬

プロスタグランジン関連薬は緑内障治療で最も代表的な目薬です。

プロスタグランジン関連薬は主に、FP2受容体作動薬とEP2受容体作動薬の2種類に分かれています。

それぞれの特徴・点眼回数・副作用について紹介します。

特徴

プロスタグランジン関連薬は、プロスタグランジンF2αという体内物質を元に作られている点が特徴です。

もともとは、眼圧降下作用を保ったまま結膜充血などへの副作用を軽減するために作られました。

点眼回数

プロスタグランジン関連薬の点眼回数は1日1回です。

点眼回数も少なく、手軽であるため緑内障に使用される目薬治療において第一選択とされています。

副作用

プロスタグランジン関連薬を点眼することで起きる可能性のある副作用は、以下の4つです。

  • まぶたなどへの色素沈着
  • まつ毛の多毛
  • 充血
  • 角膜障害 など

プロスタグランジン関連薬を長期間使用することで、薬剤が触れる目や目のまわりなどの局所に副作用が現れます。

点眼後は洗顔を行ったり薬剤が触れた目のまわりの拭き取りを行ったりすることで、副作用の軽減が期待できます。

炭酸脱水酵素阻害薬

炭酸脱水酵素阻害薬は、体内の炭酸脱水酵素と呼ばれる酵素活動を阻害する薬剤です。

酵素活動を阻害することで眼内の房液を減少させ、眼圧を下げる効果が期待できます。

それぞれの特徴・点眼回数・副作用について紹介します。

特徴

房水の産生には炭酸脱水酵素が大きく関わっており、炭酸脱水酵素阻害薬を点眼することで房水の産生を抑制できます。

また、炭酸脱水酵素阻害薬の多くは目薬ですが、内服薬や注射などの剤形がある点が特徴の1つです。

炭酸脱水酵素阻害薬は緑内障の治療以外にもてんかんや睡眠時無呼吸の改善、月経前緊張症の緩和などに使われる場合があります。

点眼回数

炭酸脱水酵素阻害薬の点眼回数は1日2〜3回です。

使用するメーカーや目の状態などによって点眼回数が変化するため、正確な点眼回数は医師の指示に従ってください。

副作用

炭酸脱水酵素阻害薬を点眼することで起きる可能性のある副作用は、以下の4つです。

  • 刺激感
  • 異物感
  • 結膜炎
  • 目のかすみ など

炭酸脱水酵素阻害薬の点眼で副作用がでることは稀です。

ただ、点眼後に目のかすみが現れた場合は、症状が落ち着くまで車や自転車などの運転は避けてください。

交感神経a2刺激薬

交感神経a2刺激薬は、房水の産生を抑制し、排出を促進させる薬剤です。

眼内の房水を減少させるため、眼圧を下げる効果が期待できます。

それぞれの特徴・点眼回数・副作用について紹介します。

特徴

交感神経a2刺激薬は、房水の産生と排出に関わっている交感神経a2受容体へ刺激を促す薬剤です。

交感神経の受容体にはおもにα受容体とβ受容体の2つがあり、房水の産生・排出に関わっているのがα受容体です。

そのα受容体にもさまざまな種類がありますが、そのなかでもα2受容体を刺激することで房水の産生抑制と排出促進効果が期待でき、眼圧低下作用が現れます。

点眼回数

交感神経a2刺激薬の点眼回数は1日2回です。

副作用

交感神経a2刺激薬を点眼することで起きる可能性のある副作用は、以下の2つです。

  • 結膜炎
  • 充血 など

また、稀ではありますがアレルギー反応がでることもあるため、なんらかのアレルギーを持っている方は事前に医師へ相談しておきましょう。

交感神経β遮断薬

交感神経β遮断薬はβブロッカーと呼ばれることもあり、房水の産生を抑制する薬剤です。

房水の産生がよく際されることで眼内の房水量が減らせるため眼圧を下げる効果が期待できます。

それぞれの特徴・点眼回数・副作用について紹介します。

特徴

交感神経β遮断薬は、房水の産生に関わっているβ受容体を遮断し、房水の産生を抑制します。

のち程、副作用の部分で詳しく紹介しますが、交感神経β遮断薬は目薬でありながら目のまわりだけではなく全身への副作用がでる可能性があります。

交感神経β遮断薬が使用できるかは、医師としっかりと相談したうえで決めるようにしましょう。

点眼回数

交感神経β遮断薬の点眼回数は1日1〜2回です。

メーカーによって、1日の点眼回数が異なるため医師へ確認をしておきましょう。

副作用

交感神経β遮断薬を点眼することで起きる可能性のある副作用は、以下の7つです。

  • 充血
  • 結膜炎
  • かゆみ
  • 異物感
  • 気管支収縮による気管支喘息や気管支の痙攣
  • 動悸
  • 不整脈 など

目薬は点眼後、目と鼻を繋ぐ管を通って体内に吸収されるため、目の周りだけではなく全身に副作用が現れることがあります。

気管支収縮や動悸などの副作用が起きることは稀です。

しかし、気管支喘息・気管支痙攣・慢性閉塞性肺疾患・コントロール不十分な心不全などの持病がある方に対しては使用しない場合が多いです。

上記の持病を持っている方は、必ず事前に医師へ報告しておきましょう。

Rhoキナーゼ阻害薬

Rhoキナーゼ阻害薬は、房水の排出を促進する薬剤です。

眼内から房水を排出することで眼圧を下げる効果が期待できます。

それぞれの特徴・点眼回数・副作用について紹介します。

特徴

Rhoキナーゼは体内で収縮・増殖・遺伝子発現誘導などの細胞の整理管理に関与している酵素です。

房水の排出にも関わっており、Rhoキナーゼ阻害薬を使用してRhoキナーゼを阻害することで房水の排出促進が期待できます。

Rhoキナーゼ阻害薬を使用すると血管拡張作用も現れる場合があり、こちらの作用による副作用が現れる場合があります。

点眼回数

Rhoキナーゼ阻害薬の点眼回数は1日2回です。

副作用

Rhoキナーゼ阻害薬を点眼することで起きる可能性のある副作用は、以下の4つです。

  • 結膜充血
  • アレルギー性結膜炎を含む結膜炎
  • アレルギー性眼瞼炎を含む眼瞼炎
  • 発疹
  • 紅班 など

結膜充血はRhoキナーゼ阻害薬の血管拡張作用によって現れるものであり、基本は点眼後30分〜数時間程度のうちに現れる一過性のものです。

しかし、結膜充血が持続する場合には注意が必要で、必ずRhoキナーゼ阻害薬を処方してもらった病院に相談しましょう。

目薬以外の治療方法

緑内障の治療では基本的に目薬を使用した治療が行われます。

しかし、緑内障のなかでも房水が眼外へ排出される排水口の役割がある隅角が狭いまたは閉じている閉塞隅角緑内障の場合は目薬以外の治療法が選ばれる場合が多いです。

目薬以外の治療法は大きくレーザー治療と手術に分かれているため、それぞれの概要などについて紹介します。

レーザー治療

緑内障に対するレーザー治療はおもに、2つの治療方法があります。

1つ目は、虹彩に穴を開けて房水の新たなとおり道を作ることで流れを変えるものです。

閉塞隅角緑内障の多くの方に対応できる治療法で、虹彩に穴をあける際にレーザーを使用します。

閉塞隅角緑内障でレーザー治療をする際には第一選択肢となるのがこちらのレーザー治療です。

2つ目は、房水のフィルターとしての役割をもつ線維柱帯の目詰まりをレーザーで解消し、房水の流れを改善します。

原発開放隅角緑内障、続発開放隅角緑内障、混合型緑内障などの際に選ばれる治療方法です。

どちらの治療方法も短時間で修了し、手術前後の日常生活にもあまり影響はありません。

レーザー治療を受けることで考えられる合併症には、虹彩後癒着・術後眼圧上昇・術後虹彩炎などがあります、

治療後は眼圧モニターなどを用いて、眼圧上昇の有無を確認し、必要であれば目薬が処方されます。

手術

目薬やレーザー治療などを行ったうえで、それでも効果が得られなかった場合に手術が行われます。

手術方法は大きく3つあります。

1つ目は、房水を目の外にしみだすように細工をする手術です。

流出路再建術(トラベクロトミー)と呼ばれており、強膜(眼球の外側・白目)を切開して房水の目詰まりを解消し、流出の促進を行います。

2つ目は、房水を球結膜下に逃がす濾過手術です。

結膜・強膜を切開し、線維柱帯と虹彩の一部を切除することで目の中と外の交通ができるようになります。

強膜の縫合で房水の漏れ具合を調整しつつ、角膜も縫合を行います。

3つ目は、チューブとプレートを用いて房水を逃がすチューブシャント手術です。

濾過手術でも眼圧の低下が難しい重篤な緑内障患者に対して行われる場合が多いです。

目のなかにチューブを設置し、房水をプレートから結膜下の眼球周囲深部に流します。

緑内障の手術はほかにもさまざまな方法がありますが、緑内障のタイプや病状によって最適な手術方法を選択します。

ただ、現在の医療では手術を受けても緑内障の進行によって失われた視力や視野が回復するわけではありません。

あくまでも緑内障の進行を悪化を防ぐための手術であると知っておきましょう。

まとめ

緑内障とは、急激な眼圧の上昇や長期間高い眼圧に晒されることによって視神経に傷が付くことで、視野が狭くなったり視力が落ちたりする病気です。

開放隅角緑内障の治療には目薬がよく用いられており、閉塞隅角緑内障や目薬で効果が得られなかった緑内障にはレーザー治療や手術が行われます。

現在の医療技術では傷ついた視神経を回復させることは不可能であるため、一度緑内障になってしまうと完治させることはできません。

緑内障の進行はゆっくりであり、自覚症状が現れるのは病状がかなり進行してからであるため、定期的な眼科健診などを受けておきましょう。

大塚眼科クリニックでは、緑内障の診察だけではなく目に関するさまざまな検査や治療に対応しています。

土日祝日も診察を行っているため、平日は仕事がありなかなか受診できない方でも安心して受診できます。

JR川崎駅直結でアクセスしやすいため、目の違和感でお悩みの方はぜひ一度ご来院ください。

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