大塚眼科クリニック

ICL同意書・クリニカルガイダンス

治療の方法について

本治療は、フェイキックIOL挿入術(=有水晶体後房レンズ挿入術)と呼ばれる手術です。これは専用のレンズを、虹彩の裏側の後房と呼ばれる部分に挿入し、屈折異常を矯正する手術です。

挿入されるレンズについて

ICL(アイシーエル)*1と呼ばれるレンズを使用します。ICLには孔なしタイプ(=アイシーエル)と孔ありタイプ(=アイシーエル KS-AquaPORT)の2種類のタイプがあります。KS- AquaPORTは孔なしタイプに改良を加えた新しいレンズです。孔ありタイプは、文字通りレンズに小さな孔が開けられており、眼の中の液体(=房水)の循環が従来品と比べて改善されたレンズです。この改良により、合併症発生率(*後述)の減少が期待されます。今回の手術で使用するレンズは、孔ありタイプ(=アイシーエル KS-AquaPORT)です。
ICLの臨床試験成績は良好で、重篤な有害事象もほとんど認められず、有用性が高いことから、孔なしタイプは、1997年7月ヨーロッパにおいて認証され、2001年7月カナダ、2002年4月韓国、2005 年12月米国FDA において医療機器として承認されています。日本でも2010年2月に厚生労働省より一般的名称:有水晶体後房レンズとして承認されています。また、孔ありタイプは、2011年にヨーロッパにおいて承認され、2013年韓国、インド、2014年に日本で承認されています。
ICLは、2001年の発売から2012年までの時点で世界70ヶ国、合計37万5千眼以上に対して挿入された実績があります。
ICLには豚の強膜に由来するコラーゲンが約0.3%含まれています。当該成分は、健康な豚に由来し、アルカリ処理の方法により病原体の付活化/除去処理を行なっており、これまでウイルス等の感染は報告されておりません。
*1 製造販売元:スター・ジャパン合同会社、製造元:スターサージカル社(米国)、スターサージカル AG社(スイス)

検査について

種々の検査を行った後、ICLの使用が適切であると医師が判断され方に、挿入手術を行います。術後も定期的な検査が必要です。検査の内容は、視力検査、細隙灯顕微鏡による前眼部所見、眼圧、眼底、角膜内皮細胞密度等です。

費用について

本治療は、自費診療扱いとなります。同意後の検査料、手術料、12ヶ月までの定期検査費用を含めた費用(両眼60万円〜80万円+消費税)をお支払い頂きます。術後の点眼処方は自費になることがあります。詳しくは医師より説明がありますので、治療、費用等わからないことがあればご質問ください。術後の返金には一切対応しておりませんのでご注意ください。

適応および禁忌

適応

禁忌

予測される効果および危険性について

予測される効果

ICLは、強度の屈折異常眼の視力を補正するのに有効と考えられ、裸眼視力が向上することが期待されます。また、他の屈折矯正手術と異なり、ICLは交換が可能であり可逆的です。

危険性

臨床評価概要

【アイシーエル(孔なしタイプ)】乱視無しのレンズ
2002年11月から2005年1月にかけて、国内2施設にて83症例を対象とした臨床試験(治験)が実施されました。評価可能な73眼において有効性および安全性が評価されました。有用性(4段階判定、矯正効果の指標)および有害事象を以下に示します。
有効性
「極めて有用」 65眼 (89.0%)
「有用」 7眼 (9.6%)
「やや有用」 0眼 (0.0%)
「有用でない」 1眼 (1.4%)
【有害事象】*本品に起因しない有害事象
高眼圧1眼(1.4%)、水晶体混濁8眼(11.0%)また、2007年10月から2008年4月にかけて、本治験の術後平均期間4.1±0.4年の長期臨床成績が収集されました。追跡可能であった65眼における有用性(4段階判定)および有害事象を以下に示します。
【有効性】
「極めて有用」 58眼 (89.2%)
「有用」 4眼 (6.2%)
「やや有用」 0眼 (0.0%)
「有用でない」 3眼 (4.6%)
【有害事象】*本品に起因しない有害事象
水晶体混濁14眼(21.5%)
【アイシーエル(孔なしタイプ)】乱視用レンズ
2002年1月から2006年6月にかけて、米国の7施設にて124名210を対象とした臨床試験(治験)が実施され、評価可能な194眼について有効性および安全性評価が行われました。裸眼視力について、術後12ヵ月において184眼(95.3%)が20/40、158眼(81.9%)が20/20を達成しました。全術後観察期間を通しての平均レンズ回転量(絶対値)は0.5°~1.1°であり、30°以上のレンズ回転を生じた例はありませんでした。6眼(2.9%)において水晶体混濁が報告され、その内2眼(1.0%)は視力に影響がありましたが、術後12ヵ月までにおいて水晶体再建術を施行された例はありません。その他、1眼(0.5%)において眼圧上昇、1眼(0.5%)において網膜剥離が報告されました。
【アイシーエル KS-AquaPORT(孔ありタイプ)】
従来のアイシーエルの一部改良品であるため、新たな臨床試験(治験)は免除され、行われていません。ただし、国内外で報告されている臨床報告(観察期間:数か月~最長5年)において、従来品と同等の有効性(矯正効果の指標)が報告されました。有害事象については、著しい眼圧上昇や視力に影響する白内障発生はこれまで報告されていません。
白内障
白内障は何らかの理由でレンズが水晶体に強く接触した場合等に起こり得ます。白内障が軽微な場合には経過観察を行いますが、白内障が著しい視力低下をきたす場合には、新たに水晶体を摘出する白内障手術を行い、眼内レンズを挿入し視力を補正します。水晶体を摘出した場合には、調節機能が失われます。臨床評価において、-12D以上の強度近視症例において白内障発生率が高くなっています。一般的に強度近視眼の白内障発生時期は早いので、本レンズとの因果関係は不明ですが、適用の際に慎重に判断をして下さい。日本においては、ICLの適用年齢は45才以下です。臨床評価において、高齢者の白内障発生率が高くなっています。高年齢でかつ近視眼の方の白内障発生率が高いため、ICL挿入との因果関係は不明ですが、適用の際に慎重に判断をして下さい。
その他
【レンズ摘出・交換】挿入したレンズのサイズや度数が合わない場合等に起こり得ます。
【グレア・ハロー】光がまぶしく感じられたり、見ている光の周りに光輪が見えることがあります。多くの場合は一過性、もしくは支障のない程度のものです。
【眼圧上昇、角膜混濁/浮腫】一般的な内眼手術にみられる一過性の症状で、点眼薬で治療し、多くの場合、数日で回復します。
【網膜剥離】眼の奥の光を感じる部分(カメラでいうフィルムに当たる部分)が剥がれる病気で、手術(光凝固術や網膜復位術)を行い治療します。
【その他 】通常の白内障手術後の眼内レンズ挿入に認められる以下の合併症又は副作用等が生じる可能性が考えられます。
1)前房出血 2)瞳孔異常(ブロック、捕獲、変形) 3)フィブリン析出4)毛様体炎 5)硝子体炎 6)眼内炎 7)黄斑浮腫・変性 8)網脈絡膜剥離9)房水漏出 10)創口閉鎖不全 等、万一上記のような術後合併症又は副作用が発現した場合には、適切な処置を行います。

当該疾患に対する他の治療方法の有無およびその内容

近視、遠視および乱視の眼の視力補正方法には、眼鏡、コンタクトレンズ、角膜屈折矯正手術等があります。眼鏡は、その中でも最も多く用いられており、安全なものですが、見える範囲が狭い、周辺が歪んで見える、物が小さく見える(近視の場合)、物が大きく見える(遠視の場合)等の光学的な欠点があります。コンタクトレンズは、眼鏡に比較して見え方は自然ですが、着脱や洗浄・消毒等、使用方法が煩雑であり、また角結膜に障害を起こす可能性があります。角膜屈折矯正手術は、裸眼視力が向上しますが、矯正可能な度数に制限がある、一度手術を行うと元に戻せない、角膜に対し直接施術を行うので、角膜に障害を起こす可能性がある等のリスクがあります。ICLの適用度数は-3D以上とされていますが、その理由は、-3D以下の近視度数の場合、他の視力矯正方法の欠点(視野、歪み、縮小等の光学的欠点。LASIKによる角膜障害)の影響が比較的少なく、ICL以外の矯正方法も有効な選択肢となるためです。

その他患者の皆さんの人権の保護に関して必要な事項について

本治療で得られたデータは、学会等で研究発表に使用されることがあります。他の目的に利用されることはなくプライバシーは守られます。

治療を受けられる患者さんに守って頂きたい事項

本治療中は、術前後の注意事項など医師の指示に必ず従って下さい。また、術後は医師の指示通り必ず検診してください。

フェイキックIOL(ICL挿入手術)同意書

診療等の名称:屈折異常の眼の視力補正(フェイキックIOL眼内挿入による屈折矯正手術)
施設名: 大塚眼科クリニック
私は、この説明・同意書の内容を読み、ICLの実施要綱について、あらかじめ説明を受けその内容を理解しました。その上で、この診療に自ら意思により同意します。また、その証として以下に署名または記名捺印し、同意説明文書と同意書の写しを受け取ります。
同意日 平成   年   月   日
本人(自署)                                              男 ・ 女
住所
親族または代理者の方
氏名             (続柄)
住所
[説明項目]
1. 治療の方法について
2. 予測される効果および危険性について
3. 当該疾患に対する他の治療方法の有無およびその内容
4. その他患者の皆さんの人権の保護に関して必要な事項について
5. 治療を受けられる患者の皆さんに守って頂きたい事項
説明日 :平成    年    月    日 
説明文書手渡日 :平成    年    月    日 
担当医師 :                                              

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