視力が悪く、日常的に眼鏡やコンタクトなどの視力矯正が手放せない人もいるでしょう。
視力の悪さをどうにかしたいと悩んでいるなら、手術なしで視力を矯正できるオルソケラトロジーといわれる治療法を試してみましょう。
ただ、あまり聞き慣れない治療法で、オルソケラトロジーの概要や費用について知らない人も多いかもしれません。
この記事では、オルソケラトロジーについて、向いている人の特徴、費用面、ほかの治療との比較について紹介します。
視力の悪さに困っている人、オルソケラトロジー治療に興味がある人はぜひ最後までご覧ください。
オルソケラトロジーとは
ここでは、オルソケラトロジー治療の概要とメリット・デメリットについて紹介します。
まずはオルソケラトロジー治療について知っていきましょう。
治療の概要
オルソケラトロジーとは、近視・近視性乱視に悩んでいる人に向けた手術不要の視力矯正治療法です。
オルソケラトロジーレンズと呼ばれる、高酸素を通過させる特殊なデザインのハードコンタクトレンズのようなものを就寝中に装用します。
睡眠中にオルソケラトロジーレンズを装用することで角膜の形状を矯正し、近視の回復を目指します。
起床後、オルソケラトロジーレンズは外しますが、角膜は矯正された形状を一定時間保てるため、日中は裸眼での活動が可能です。
日本では2009年以降徐々に広がっている治療法で、アメリカやヨーロッパなどの世界中で安全性と有効性が認められています。
メリット
オルソケラトロジー治療のメリットは、おもに以下の4点です。
- 手術不要
- 装用は就寝中のみで日中は裸眼で活動できる
- 角膜は装用を辞めれば元の状態に戻る
- 子どもの近視抑制に効果が期待できる
オルソケラトロジー治療の最大のメリットは、手術が不要な点です。
手術と聞くとなかなか治療に踏み出せず、失敗の可能性なども考えてしまうでしょう。
オルソケラトロジー治療は手術不要で、オルソケラトロジーレンズの装用を中止すれば、角膜は元の状態に戻ります。
また、オルソケラトロジー治療は保護者の補助があれば6歳以上から治療が可能で、近視抑制の効果が期待できます。
近視の強い人の方がより高い抑制効果が期待できるでしょう。
デメリット
手術不要で手軽な印象のオルソケラトロジー治療ですが、以下のようなデメリットも存在します。
- レンズのケアが必要
- 定期健診が必要
- 夜に光がにじんで見える
就寝中に装用するオルソケラトロジーレンズは通常のコンタクトレンズ同様に装用後のケアが必須です。
ケアを怠ると、レンズに細菌などが繁殖してしまい角膜炎・角膜上皮障害・角膜感染症などさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。
日常的にコンタクトレンズを使用していれば慣れた作業ではありますが、慣れるまでは手間に感じるかもしれません。
また、オルソケラトロジーレンズを装用すると夜間に光がにじんでしまうハロー・グレアと呼ばれる現象に遭遇することがあります。
慣れると改善されることもありますが、夜間に車の運転などをする際には注意が必要です。
どうしても気になる場合は、使用を中止して医師に相談しましょう。
オルソケラトロジーが向いてる人
オルソケラトロジー治療に向いている人にはいくつかの特徴があります。
ここでは、5つの特徴を紹介するため、当てはまっているか確認してみましょう。
6歳以上で中等度以下の近視・軽度の乱視
まずは、6歳以上で中等度以下の近視・軽度の乱視の人です。
オルソケラトロジー治療は保護者の補助があれば、6歳の子どもから始められる治療です。
特に子どもは角膜の表面が柔らかく、睡眠時間も長いためオルソケラトロジー治療の効果が出やすいといわれています。
オルソケラトロジー治療の年齢上限制限はありませんが、老眼を自覚している人がオルソケラトロジー治療を受けると手元が見えづらくなる場合もあります。
また、オルソケラトロジー治療は比較的軽度な近視や乱視の人に向けた治療方法です。
そのため、重度の近視や乱視は角膜の形状や年齢など一部を除き、治療の対象外になる可能性が高いです。
裸眼でスポーツがしたい
裸眼でスポーツがしたい人も、日中は裸眼で過ごせるオルソケラトロジー治療が向いています。
特に格闘技・サッカー・水泳などコンタクトレンズやメガネの着用がケガなどにつながってしまう可能性のあるスポーツをしている人にはおすすめです。
メガネやコンタクトレンズをしたくない
メガネやコンタクトレンズの装用感などに違和感を覚えたり、邪魔だと感じてしまったりする人もオルソケラトロジー治療が向いています。
オルソケラトロジーレンズの装用は基本的に睡眠中です。
そのため、メガネやコンタクトレンズを装用しているときの違和感などを覚えにくいです。
外科手術をしたくない
近視などの治療にはレーシックなどの外科手術が有名ですが、手術の失敗や元に戻したくても戻せないなどのリスクが存在します。
一方でオルソケラトロジー治療は、手術を行わず角膜の矯正を行う治療法です。
なんらかの事情があり、目を元に戻したいと思った場合にはオルソケラトロジーレンズの装用を中止すれば、元の状態に戻すこともできます。
重度のドライアイや眼の疾患がない
オルソケラトロジー治療では、ハードコンタクトレンズのようなものを装用します。
そのため、重度のドライアイ・円錐角膜や眼底疾患、アレルギーなど眼の疾患がある人は治療を受けられない可能性が高いです。
また、過去にレーシック手術を受けた人は術後長期間経過していたとしても治療は受けられません。
オルソケラトロジーの費用
オルソケラトロジー治療を受けたいと思ったときに、一番気になるのは費用でしょう。
次にオルソケラトロジー治療を受ける流れと一緒にそれぞれにかかる費用について紹介します。
オルソケラトロジー治療を受けようと思っている人はぜひこちらを参考にしてください。
初診・検査
まずは、初診と検査を行い、そもそもオルソケラトロジー治療が可能かどうかを判断します。
初診・検査費用は5,500円程度です。
また、初診の際には必ず予約が必要です。
もし現在ハードコンタクトレンズを使用している際は、検査に影響がでる場合があるため1週間以上レンズの使用を中止したうえで受診をしてください。
検査はおもにオルソケラトロジー治療が適しているかを判断するために、近視の度数や眼の健康状態などを確認します。
お試し装用
初診・検査の結果、問題なしと判断されれば、オルソケラトロジー治療についての説明が行われたのち、トライアルレンズを使用して1週間前後お試し装用が始まります。
お試し装用の費用は55,000円で以下のものが含まれています。
- 両目用トライアルレンズ貸出費用:44,000円(片目22,000円)
- 初診・検査代:5,500円(先程の初診・検査で紹介した費用)
- レンズケア用品初回セット:5,500円
1週間お試し装用を行い、特に問題がなければ両目用トライアルレンズ貸出費用(44,000円)は返金してもらえます。
治療継続決定
お試し装用を行い、装用に問題がなくオルソケラトロジー治療の効果が確認できれば、本格的な治療継続が決まります。
継続治療が決まれば両目のオルソケラトロジーレンズを165,000円で購入する流れとなります。
オルソケラトロジーレンズの費用は医療費控除の対象です。
アフターケア
継続治療を行う際にはアフターケアとして、必ず定期的に検診に通う必要があります。
基本は1週間後・3ヶ月後・6ヶ月後となり、以降3ヶ月ごとの検診が必要で、初診後3ヶ月以降の検診は自費診療となり、1回3,300円かかります。
オルソケラトロジーレンズは定期的な交換が必要です。
基本は2年後に片目44,000円でレンズを交換します。
なんらかの原因でレンズが破損した場合、シリアルナンバーが残っていればレンズ発注から1年以内1回のみ片目であれば交換可能です。
また、日々オルソケラトロジーレンズを使用するうえで以下のケア用品が必要です。
- 洗浄保存液ピュアエメラルド:1本1,100円(3本2,970円)
- エメラルド専用レンズケース:660円
- 脱着時のスポイト:440円
お試し装用の費用に初回分の費用は含まれていますが、無くなり次第購入が必要になります。
このようなケア用品は、コンタクトレンズ協会に認められているオルソケラトロジー専用のものです。
他社製品を使用して、なんらかの問題や障害が起きた場合は自己責任となりますのでご注意ください。
他の治療方法との比較
最後に、オルソケラトロジー治療と他の近眼治療の比較を紹介します。
近眼治療としてよく行われているのは以下の4つです。
- メガネ
- ソフトコンタクトレンズ
- レーシック
- ICL
それではそれぞれ比較していきましょう。
メガネ
メガネは近眼治療として最も知られているものであり、近眼以外にも遠眼や老眼、乱視などさまざまな治療に用いられます。
また、重度のドライアイなどの眼疾患を抱えていても問題なく使用できる面はメリットといえるでしょう。
費用面で見ても、オルソケラトロジー治療よりも抑えられる場合が多いです。
ただ、運動や日常生活で邪魔に感じる場面があり、メガネが合わない場合はこめかみや眉間が痛くなってしまうこともあります。
オルソケラトロジー治療では、レンズを装用するのは睡眠中のみであるため、日常生活に影響は出にくいでしょう。
ソフトコンタクトレンズ
ソフトコンタクトレンズもメガネと同様に近眼治療としてよく知られているものです。
最近は度入りのカラコンも多く販売されており、おしゃれの一部としても人気があります。
1日使い捨てを使用する場合の費用面は、長期的に見ればオルソケラトロジー治療の方が経済的です。
また、ソフトコンタクトレンズなどの装用を避けた方がよいとされるスポーツをおこなう際や装用中の違和感が気になる人もいるでしょう。
その場合は、日中裸眼で過ごせるオルソケラトロジー治療の方が向いているかもしれません。
レーシック
レーシックとは、角膜にレーザーを照射して視力の回復を目指す手術です。
視力回復手術のなかでは安価といわれていますが、オルソケラトロジー治療の方が初期費用が安く、手術不要の点からも挑戦しやすい治療です。
オルソケラトロジー治療は手術不要なので、手術を行った際のリスクや不安感を回避できる点が大きなメリットでしょう。
それだけではなくレーシックは18歳以上でなければ治療できませんが、オルソケラトロジー治療は6歳以上からできるため、早く治療を開始したい場合におすすめです。
また、一度レーシック手術を行ってしまうと長期間経過したあとでもオルソケラトロジー治療は受けられません。
レーシック手術を受ける際にはよく考えたうえで決めましょう。
ICL
ICLとは、半永久的に眼内コンタクトレンズを目に挿入することで視力の回復を目指す手術です。
費用は比較的高く、オルソケラトロジー治療よりも高いですが一度の手術で回復した視力を長期間維持できる点はメリットといえるでしょう。
また、オルソケラトロジー治療は角膜の形状によっては治療を受けられない可能性がありますが、ICLは幅広い角膜の形状や度数にも対応できます。
ただ、レーシック同様にICLにも年齢制限があり、18歳以上でなければ手術を受けられません。
手術に抵抗がある人、18歳未満で治療をしたい人はオルソケラトロジー治療を検討してみましょう。
まとめ
オルソケラトロジーとは、近視や近視性乱視に悩んでいる人に向けた手術不要の視力矯正治療法です。
手術不要で日中は裸眼で活動できる点や子どもの近視抑制にも効果が期待できる点がメリットです。
一方で、レンズのケアが必要な点などがオルソケラトロジー治療のデメリットといえるでしょう。
大塚眼科クリニックでは、今回紹介したオルソケラトロジー治療だけではなくコンタクトレンズやICLなど幅広い眼治療に対応しています。
なんらかの事情で、通院が難しい人に向けてオンライン診療も受け付けています。
対応できる治療内容には限りがありますが、ぜひご利用ください。
また、土日祝日も診察を行っているため、平日は仕事がありなかなか受診できない人でも安心して受診できます。
なにか眼の悩みがある人は、ぜひお気軽に大塚眼科クリニックへご相談ください。