突然視界にキラキラとした光が見えることがあります。
これは前兆なく急に現れることがあり、原因は目か頭のどちらかにあります。
この症状には大きな病気が隠れている可能性があるため、なるべく早めに医療機関を受診すべきです。
この記事では、視界がキラキラとする場合に考えられる病気について解説します。
受診の目安についてもまとめているため、似たような症状でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
視界がキラキラするのは『目』か『頭』どちらかに原因がある
視界がキラキラするのは目か頭のどちらかに原因があります。
目が原因の場合、光視症や飛蚊症、網膜裂孔、網膜剥離などの疾患が疑われ、頭が原因の場合は閃輝暗点や偏頭痛が疑われます。
眼科に行って視力や眼底検査をしても異常が見られない場合、頭に何らかの原因があり視界がキラキラとする症状が現れている可能性が高いです。
目が原因の場合の病気
目が原因の場合に考えられる病気は以下の通りです。
症状 | 原因 | |
---|---|---|
光視症 | 視界にチカチカ・キラキラとした光がはしる | ・目の中の硝子体が網膜を刺激する
・後部硝子体剥離 ・脳の血管の病気、網膜剥離 |
飛蚊症 | 糸くず状、虫状、カエルの卵状、ゴマ粒状、たばこの煙状のような浮遊物が視界に動いて見える | ・生理的な原因(加齢によるもの・先天的なもの)
・病的な原因(網膜裂孔、網膜剥離、強度近視、硝子体出血、ぶどう膜炎など) |
網膜裂孔 | 飛蚊症・光視症 | 後部硝子体剥離 |
網膜剥離 | 飛蚊症・光視症
視力の低下 |
加齢、強度近視、外傷など |
ここでは上記4つの病気についてそれぞれ解説します。
光視症
光視症は、光が当たっていないにもかかわらず視野の中心や端にチカチカ・キラキラとした光を感じる病気です。
症状
光視症は視界にチカチカ・キラキラとした光がはしる症状が現れます。
暗い部屋で閃光や稲妻のような光が見えたら、光視症が疑われるでしょう。
原因
光視症の主な原因は、目の中の硝子体が網膜を刺激することです。
硝子体は水晶体と網膜の間にあるゼリー状の物質で、眼球内を透明に保ち、網膜を保護する役割を持ちます。
通常硝子体は網膜にぴったりと張り付いている状態ですが、加齢とともに変性・萎縮することで徐々にはがれてくる『硝子体剥離』が起こります。
硝子体剥離によって網膜が刺激されると、視界にキラキラとした光が見えることがあるのです。
また光視症は脳の血管の病気や過労、睡眠不足などにより引き起こされることもあります。
頭をぶつけた際に目の前が一瞬明るくなるのは、頭をぶつけた際の衝撃で網膜が刺激され、光として感じてしまうためです。
これと似たような原理で光視症が引き起こされる場合があります。
飛蚊症
飛蚊症は視界に小さな糸くずや虫のような浮遊物が動いて見える病気です。
症状
飛蚊症は糸くず状、虫状、カエルの卵状、ゴマ粒状、たばこの煙状のような浮遊物が視界に動いて見えるのが主な症状です。
浮遊物の大きさや形状、数はさまざまで、目線の動きに合わせてついてきます。
最初は視界に映る浮遊物が気になりますが、徐々にその見え方に慣れてくる場合が多いです。
幅広い年齢層に見られる病気ですが、高齢の方や近視が強い方は症状を自覚しやすいとされます。
原因
眼球内に満たされている硝子体内にできた濁りの影が網膜に映ることで、視界に浮遊物が動いて見えます。
飛蚊症は生理的な原因によるものと病的な原因によるものの2種類があり、それぞれ硝子体内に濁りができる原因が異なります。
生理的な原因による飛蚊症は加齢によるものと先天的なものの2種類です。
加齢による飛蚊症の場合、20歳ごろを過ぎると硝子体が徐々に濁ってくるため、これが原因で飛蚊症の症状が現れることがあります。
生まれつき飛蚊症を発症している場合、先天性の飛蚊症が疑われます。
本来なら胎児の時期に眼球が形成され完成とともに硝子体内の血管は消失しますが、眼球形成後も血管のなごりが残ってしまうことがあり、これが先天性の飛蚊症の原因です。
また病的な原因による飛蚊症は、以下のような病気により引き起こされる場合があります。
- 網膜裂孔
- 網膜剥離
- 強度近視
- 硝子体出血
- ぶどう膜炎
飛蚊症の9割は生理的な原因によるものとされますが、上記のような病気のサインとして飛蚊症の症状が現れる場合もあるため注意が必要です。
網膜裂孔
網膜裂孔は網膜に裂け目や孔が生じる病気です。
症状
網膜裂孔の主な症状として、飛蚊症と光視症が挙げられます。
これらの症状は加齢に伴う後部硝子体剥離による生理的な現象として現れることが多いです。
必ずしも網膜裂孔が原因となって上記の症状が現れるわけでありませんが、現れるゴミのようなものの数や色の濃さ、キラキラとした光が見える頻度が急に増えた場合、網膜裂孔やその他何らかの異常が生じている可能性があります。
少しでも目に違和感が生じたら、早めに眼科を受診しましょう。
原因
網膜裂孔が起こる代表的な原因として、後部硝子体剥離が挙げられます。
後部硝子体剥離は加齢に伴うものが一番多く、中高年以上で発症する方が多いです。
また中等度以上の近視の場合は網膜の変性が起こっていることが多く、視力が良い人と比べると網膜裂孔や網膜剥離が起こる頻度が高い傾向にあります。
その他、年齢に関係なく外傷で網膜裂孔が起こる場合もあります。
例えば目を直接ぶつけたり頭に強い衝撃が加わったりすると、硝子体が揺さぶられることにより網膜に力が伝わり、網膜裂孔が起こることがあるのです。
生まれつき網膜に薄い部分があると、ケガや頭への衝撃などで小さな穴が開くこともあります。
網膜剥離
網膜剥離は、網膜が剥がれて視力が低下する病気です。
症状
網膜剥離の代表的な症状は飛蚊症と光視症の2つです。
網膜の剥がれは痛みを伴わないため気づかない場合も少なくありませんが、上記2つの症状が前兆として現れることがあります。
網膜の中心部の黄斑部分まで剥がれてしまった場合、急激に視力が低下し、最悪の場合失明する場合もあるため早めに眼科を受診することが大切です。
原因
網膜剥離を引き起こす原因として、加齢、強度近視、外傷などが挙げられます。
硝子体は加齢とともに徐々にさらさらとした液体に変化し、もともと硝子体があった部分に隙間が生まれて空洞ができます。
硝子体の液化の進行により硝子体と後方の網膜が離れて隙間が形成されますが、この2つが癒着したり網膜が弱くなったりしていると、衝撃によって穴が開いてしまうことがあるのです。
この現象は加齢変化による生理的なもので、一般的に60代前後の方に多く見られます。
また近視が強いと網膜が薄く引き伸ばされた状態となり、通常よりも衝撃に弱くなってしまいます。
強度近視は遺伝的な要素もかかわってくるもので、比較的若い方に多いです。
頭が原因の場合の病気
頭が原因の場合の病気として、以下が挙げられます。
症状 | 原因 | |
---|---|---|
閃輝暗点 | 突然視野に稲妻のようなギザギザの光の波が現れ、徐々に四方に広がってその場所が暗く見えなくなる | 脳の血管の収縮と拡張 |
片頭痛 | 片側のこめかみ部分を中心にズキズキと脈打つような痛みが生じる | ・脳の血管の収縮と拡張によるもの ・中枢神経に何らかの原因がある神経説、三叉神経血管説など |
ここでは上記2つの病気についてそれぞれ解説します。
閃輝暗点
閃輝暗点は視界にチカチカ・キラキラとした動く光が見え、視野が狭くなったりものが歪んで見えたりする病気です。
症状
閃輝暗点は視界に突然ギザギザ・キラキラとした光の波が現れたり、波模様のように歪んで見えたりするのが主な症状です。
症状が持続する時間は10〜20分程度で、その後片頭痛が起こるケースが多いです。
片頭痛の症状には個人差があり、頭が重くなる程度の場合もあれば、吐き気や嘔吐を伴う場合もあります。
原因
閃輝暗点は脳の血管の収縮と拡張が原因で引き起こされます。
脳の血管の収縮・拡張を引き起こす原因となる例は以下の通りです。
- ストレス
- 寝不足
- 喫煙
- コーヒー
- アルコール
上記いずれも血管を収縮させる作用があるため、神経への刺激が大きくなり、閃輝暗点を引き起こしやすくなります。
閃輝暗点を予防するためには、血管収縮作用のある食べ物は控えるほか、ストレスを適度に発散したり質の高い睡眠をとることが大切です。
片頭痛
片頭痛は、片側のこめかみ部分を中心にズキズキと脈打つような痛みが生じる頭痛です。
症状
以下の症状が当てはまる場合、片頭痛の可能性が高いです。
- 頭の片側に痛みが起こる
- ズキズキと脈打つような痛みがある
- 生活に支障が出るほどの中等度以上の痛みがある
- 歩行や階段昇降などの日常的な動作により痛みが悪化する
- 頭痛が起こると吐き気がする
- 頭痛が起こると光や音に敏感になる
片頭痛は頭の痛みや吐き気が起こる前に、前兆となる症状が起こる場合もあります。
具体的な前兆症状は以下の通りです。
- 視覚性症状:ギザギザ・キラキラとした光が現れる(閃輝暗点)
- 感覚性症状:感覚が鈍くなる、チクチクとした感覚が生じる
- 言語症状:言葉が出にくくなる
前兆症状は5〜60分程度続き、その後片頭痛が起こります。
前兆の出方には個人差があり、人によっては眠気や集中力低下、空腹感などが現れる場合もあります。
原因
片頭痛の原因は未だはっきりとは解明されていませんが、以下の3つが挙げられます。
- 脳の血管の収縮と拡張によるもの
- 神経説:片頭痛を起こす発生器が刺激される
- 三叉神経血管説:なんらかの原因によって三者神経が刺激されることで痛みを引き起こす物質が分泌される
また日常生活のストレスや睡眠不足なども、片頭痛を引き起こすきっかけとなると考えられています。
片頭痛を引き起こすきっかけとなり得るものは以下の通りです。
- ストレス
- 寝不足
- 女性ホルモンの変化
- 天候や気圧の変化
- 空腹
- 脱水
- 肩こり
- アルコール
- カフェイン
アルコールやチョコレート、チーズなどの食べ物が原因で片頭痛が引き起こされる場合もあり、何が原因で発症するかは個人差があります。
原因を特定するためには、片頭痛の発症頻度や痛みの度合いなどを記録する癖をつけておくことが大切です。
受診の目安
視界にキラキラとした光が見える場合の受診の目安について、明確に「この光り方をしていたら受診すべき」という基準がありません。
しかしこのような症状には、光視症や飛蚊症、網膜裂孔、網膜剥離、閃輝暗点、偏頭痛などの病気が隠れている可能性があります。
そのため症状が現れたらなるべく早めに医療機関を受診すべきといえるでしょう。
目と頭どちらを先に調べるべきかですが、以下を参考に優先順位を決めてください。
- 頭痛やふらつきなどの全身症状がある場合:神経内科または脳神経外科の受診を優先
- 上記の症状がない場合:症状から疑われる医療機関(眼科)を優先
受診した医療機関で問題が見つからない場合は、他の診療科を受診しましょう。
まとめ
視界にキラキラとした光が映る場合、目が原因の病気(光視症や飛蚊症、網膜裂孔、網膜剥離)と頭が原因の病気(閃輝暗点や偏頭痛)が疑われます。
視界に急に光が映るようになったら、自己判断で放置することなく、なるべく早めに医療機関を受診してください。
頭痛やふらつきなどの全身症状がある場合は神経内科または脳神経外科の受診を優先し、目の症状だけであれば眼科を受診すると良いでしょう。
大塚眼科クリニックでは、眼科一般の診療はもちろん、白内障や緑内障、屈折矯正、近視抑制治療など幅広い診療内容に対応しています。
視界に違和感が生じたら、ぜひ一度当院までご相談ください。