目に光が当たっているわけではないのに視野の中心や端に光が見えたり感じたりする経験はありませんか?
もしかしたらそれは「光視症」かもしれません。
光視症は目に原因がある場合と頭に原因がある場合で考えられる疾患が異なります。
この記事では、光視症とは何か、目と頭それぞれに原因が考えられる疾患の症状・原因・治療法について紹介します。
光視症かもと思っている方、光視症について知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
光視症とは?どんな見え方?
光視症とは、目に光が当たってない状態にもかかわらず、視野の中心や端に光が飛んで見えたりキラキラ・チカチカとした光を感じたりする症状です。
人によっては明滅したり光の線が見えたりする場合もあります。
光視症はの多くは生理的なものであり、特に心配はいりません。
しかし、繰り返し起こる場合はなんらかの病気が隠れている場合があるため、眼科での診察・検査が必要です。
なんらかの病気で光視症になる原因は大きく、目に原因がある場合と頭に原因がある場合の2つです。
同じ光視症でも原因がどちらにあるのかによって、考えられる疾患が異なります。
目に原因がある場合に考えられる疾患
光視症の原因が目にある場合、硝子体(眼球内の大部分を占めているゼリー状の透明な物質)の収縮によって網膜が刺激を受けておきます。
ここでは、光視症の症状がでた原因が目の場合に考えられる疾患3つを紹介します。
飛蚊症
飛蚊症はあらゆる年齢層に現れる症状です。
特に高齢者、近視の方に多く見られ、殆どは加齢などに伴う生理的なものであり病気ではありません。
飛蚊症は自覚症状が少なく、視力低下や痛みなども現れないため放置してしまう方が多いです。
ただし、場合によっては別の病気が隠れている可能性があるため、放置するのではなく眼科を受診しましょう。
症状
飛蚊症の基本的な症状は、目の前に蚊やゴミのようなものが飛んで見えたり雲のようなものが浮いて見えたりするものです。
飛蚊症という名前からも、黒く小さなものが飛んでいるイメージがあるかもしれませんが、実際には以下のように黒く小さなもの以外が見える場合もあります。
- 水玉
- 黒いすすなど墨を流したようなもの
- 糸くず
- お玉じゃくし
- 輪っか など
黒や透明などの色の違いもあり、数も1個だけではなく同時に多数見える場合もあります。
原因
飛蚊症の原因は生理的な原因と病的な原因の2つに分けられます。
生理的な飛蚊症には加齢によるものと先天的なものの2つです。
眼球内の大部分を満たしている硝子体は20歳を過ぎたころから濁りはじめ、この濁りが網膜上に影を落とすことでおきます。
また、なかには生まれつき飛蚊症を持っている場合も多いです。
本来は胎児の眼球が形成される過程で硝子体内の血管は消失していきますが、一部血管が完全に消失せず残存する方も一定数存在し、これが飛蚊症となることもあります。
飛蚊症の殆どは上記のような生理的な原因ですが、一部眼病のサインとして現れる場合もあります。
放置すると失明する病気が隠れている可能性もあるため、一度眼科を受診しましょう。
治療方法
生理的な飛蚊症に関しては治療を受ける必要はありません。
しかし、眼病のサインとして現れている場合、元になっている眼病の治療を行う必要があります。
まずは、どういった眼病が原因で飛蚊症が現れているのかを調べましょう。
網膜裂孔
網膜裂孔とは、網膜に破れが生じることです。
網膜裂孔を放置すると、のち程紹介する網膜剥離につながってしまう可能性があります。
また、網膜裂孔は硝子体の変性や萎縮で生じる萎縮性裂孔と硝子体と網膜が癒着する牽引性裂孔に分かれています。
特に牽引性裂孔は網膜剥離につながりやすいです。
症状
網膜裂孔の主な症状は、光視症などです。
特に今までは普通に見えていたのに、急に光視症などの症状が現れた場合は注意が必要です。
原因
網膜裂孔の原因は、おもに3つあります。
1つ目の原因は、加齢です。
眼球内の大部分を満たしている硝子体は加齢と共にサラサラに変化(硝子体変性)していきます。
硝子体変性で眼球内の硝子体の容積が減ってしまうと、後方部分の網膜と硝子体が剥がれる後部硝子体剥離が起き、その際に穴や裂け目ができると網膜裂孔となります。
2つ目の原因は、重度の近視です。
近視は眼球の長さが長くなることで網膜よりも手前で焦点が結ばれることで起きます。
眼球が長くなると網膜が引っ張られ、薄く弱い部分ができてしまい、眼球が収縮する際に網膜裂孔が起きる場合があります。
3つ目の原因は、眼球の打撲などの外傷です。
激しい運動や転倒などの際に、眼球に強い衝撃が加えられることで、急激に眼球が変化して網膜裂孔が起こります。
治療方法
網膜裂孔が確認された場合、レーザーを使用した網膜光凝固術で治療を行います。
レーザーで裂孔のまわりを焼き固めることで、裂孔への硝子体の水分侵入を防ぎ、網膜剥離への進行も阻止できます。
網膜剥離
網膜剥離とは、網膜が眼底の内壁から剥がれてたことで起きる病気です。
網膜はものを見る際には欠かせないもので、外部から取り込んだ光を受け取り色や形を視覚情報に変換して脳に送る役割を持っています。
網膜が眼底から剥がれてしまうことで、酸素や栄養の共有ができなくなり、剥がれた部分から死滅していきます。
網膜が死滅していくことに伴い、網膜の機能低下による視力低下、視野欠損、放置すると失明する場合もあるでしょう。
症状
網膜剥離が起きると殆どの場合、飛蚊症や光視症などの症状が現れます。
このような症状は、網膜裂孔の際に起きるものと同様で、網膜裂孔を放置すると網膜剥離につながるため、できるだけ早く診察を受けるようにしましょう。
特に、視界に映るゴミの数や色、光の見える頻度が増えるなど急な変化が現れた場合は症状が悪化している可能性があります。
また、網膜剥離が進むと網膜の剥がれた部分の視野が欠損したものが歪んで見える変視症などの症状が現れます。
網膜剥離の範囲が広がると、最悪の場合は失明です。
原因
網膜剝離の原因はさまざまで、網膜裂孔が進行したことにより網膜剥離につながるものなどがあります。
加齢や近視などで網膜に生じた裂け目や穴から硝子体の水分が網膜の裏側へ侵入し、網膜の内壁を浮き上がらせて剥がしてしまうことで網膜剥離になります。
それだけではなく、以下のように別の病気が合併することで網膜剥離を発症することも多いです。
- 糖尿病網膜症
- 網膜静脈閉塞症
- ぶどう膜炎
- アトピー性皮膚炎 など
また、事故によって眼球や頭に外部からの衝撃を受けて発症するケースもあります。
治療方法
網膜剥離の治療には手術が必要です。
難しい手術ではありますが、早期手術を行えば成功率は9割を超えます。
手術方法はおもに硝子体手術と強膜バックリング手術の2種類です。
硝子体手術とは、網膜剥離を起こしている硝子体を取り除き、網膜を眼底に元の位置に戻すものです。
白目部分から専門器具を挿入し、硝子体を切除・吸引してガスを注入します。
そして、剥がれた網膜を元の位置に戻し、レーザーを使用した網膜光凝固術で焼き固めて固定します。
網膜をしっかり定着させるため、術後1週間程度はできるだけうつ伏せ姿勢で過ごしましょう。
強膜バックリング手術とは、剥がれた網膜に合わせて強膜を陥没させ眼底を網膜に近づけて元に戻すものです。
剥がれた網膜と眼底の位置を戻し、強膜を冷凍凝固や網膜光凝固術で焼き固めて固定します。
頭に原因がある場合の疾患
目にまったく異常がない場合でも光視症が現れることがあります。
その場合は、頭に原因があるかもしれません。
ここでは、頭に原因があって光視症が現れる場合の疾患として多い閃輝暗点と片頭痛について、症状や原因、治療方法を紹介します。
ただ、閃輝暗点や片頭痛以外にも脳梗塞や脳動脈瘤などの脳の病気によって起こる場合もあります。
光視症について眼科を受診しても問題がなかった場合は、脳の病気などを調べるために神経内科や脳神経外科を受診しましょう。
閃輝暗点
閃輝暗点は、突然視界のなかにギザギザ、きらきらしたような光の波が見てて少しずつ四方に広がり、10〜20分程度で自然消滅する現象です。
光の波が現れた場所は暗く見えづらくなり、自然消滅後片頭痛が起きることが多いです。
症状
閃輝暗点の症状は人によって多少異なりますが、多くの方に当てはまる症状は以下のとおりです。
- ギラギラとした光の輪のようなものが見える
- ギザギザとした尖った波模様が見える
- きらきらしてまぶしく光る
- 真っ白や真っ暗で見えなくなる
- ちかちかする
- 景色が歪んで見える など
見える光の輪や波模様のようなものは眼を閉じても見えます。
閃輝暗点の症状は多くの場合は10〜20分程度、遅くても60分以内には治まる場合がほとんどです。
閃輝暗点の症状が治まったあとに片頭痛になることが多く、頭の重さを感じる程度の軽い片頭痛から吐き気や嘔吐を伴う片頭痛まで症状は人それぞれです。
片頭痛は、1日以内に治まる人もいますが2日程度続く方もいます。
原因
閃輝暗点の原因は、脳血管の収縮や拡張により後頭葉の血流が悪化し、脳機能が低下するためです。
脳血管が収縮や拡張する原因は以下のものが考えられます。
- 低血糖
- 寝不足・睡眠不足
- ストレス
- 喫煙
- コーヒーやアルコールの摂取
- チョコレートやナッツ類の食べすぎ など
何度も閃輝暗点が起こる方は一度原因と考えられるものや行動を避けてみましょう。
治療方法
現在の医療技術では閃輝暗点そのものを治療する方法はありませんが、閃輝暗点の引き金となる原因を避けたり片頭痛の予防薬を服用したりする場合があります。
また、閃輝暗点の原因が脳梗塞などであれば、原因となる疾患の治療を行えば自然と閃輝暗点の症状もなくなるでしょう。
片頭痛
片頭痛とは、頭の片側または両側のこめかみが脈打つような痛みが繰り返し起こる病気です。
人によっては、頭痛だけではなく吐き気も伴う場合もあり、月に1〜2回程度起こります。
一度痛みだすと寝込んでしまったり仕事が難しくなったり日常生活に支障をきたす可能性もあります。
症状
片頭痛のおもな症状は、ズキンズキンとこめかみの脈打つような痛みです。
片頭痛の症状がでると、吐き気や嘔吐を伴う場合もあり日常生活に支障がでる場合もあります。
痛みが治まれば普通に日常生活を送ることができ、片頭痛が命にかかわることもありません。
片頭痛は数時間で治まることもあれば3日程続くこともあります。
原因
片頭痛の原因はまだ完全に解明はされておらず、発症のメカニズムには諸説あります。
以前は脳血管の萎縮時に光視症や閃輝暗点などの前兆が起き、血管が拡張して頭痛(片頭痛)が起きるとされていました。
しかし、最近の研究では、中枢神経になんらかの原因がある神経説やなんらかの理由で三叉神経が刺激される三叉神経血管説なども考えられています。
治療方法
現在、片頭痛を完治させる治療方法はありません。
そのため、基本的には適切なセルフケアと投薬によって症状をコントロールします。
片頭痛の治療方法には、片頭痛が起きた際に服用する薬と片頭痛を予防するために服用する薬があります。
片頭痛が起きた際に服用する薬は、非ステロイド性抗炎症薬やトリプタン製剤、エルゴタミン製剤などです。
片頭痛を予防するために服用する薬は、β遮断薬や降圧薬、抗てんかん薬などがあります。
予防薬は続けて服用することで効果を発揮し、片頭痛が起きた際には発作治療薬と併用する場合もあります。
まとめ
光視症とは、目に光が当たってない状態にもかかわらず、視野の中心や端に光が飛んで見えたりキラキラ・チカチカとした光を感じたりする症状です。
光視症の多くは生理的なものであり、特に心配はいりませんが、繰り返し起こる場合は眼科などでの診察・検査が必要です。
光視症の原因は目と頭それぞれ、隠れている可能性ある疾患が異なります。
目に原因があれば網膜裂孔や網膜剝離、頭に原因があれば片頭痛などの疾患が考えられるでしょう。
大塚眼科クリニックでは、網膜剝離など幅広い眼治療に対応しています。
土日祝日も診察を行っているため、平日は仕事がありなかなか受診できない方でも安心して受診できます。
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