視界の一部にぎらぎらとした光の輪のようなものや尖った波模様などが現れ、時間の経過とともに範囲が広がって自然消滅する経験がある方もいるでしょう。
それは閃輝暗点(せんきあんてん)かもしれません。
閃輝暗点はさまざまな病気の予兆である可能性があり、自然消滅するからと放置するのは危険です。
この記事では閃輝暗点の特徴や注意すべき疾患、予防方法などを紹介します。
一度でも閃輝暗点の自覚症状があった方、定期的に閃輝暗点の症状がでる方はぜひ最後までご覧ください。
閃輝暗点の見え方などの特徴
まずは、閃輝暗点がどのような症状なのか、見え方や原因について紹介します。
閃輝暗点とは
閃輝暗点(せんきあんてん)とは、突然視界のなかにギザギザ、きらきらしたような光の波が見えて少しずつ四方に広がり、10〜20分程度で自然消滅する現象です。
光の波が現れた場所は暗くハッキリ見えづらくなり、自然消滅後片頭痛が起きることが多いです。
症状や見え方
閃輝暗点の症状や見え方は人によって多少異なります。
おもな症状や見え方は以下のとおりです。
- ギラギラとした光の輪のようなものが見える
- ギザギザとした尖った波模様が見える
- きらきらしてまぶしく光る
- 真っ白や真っ暗で見えなくなる
- ちかちかする
- 景色が歪んで見える など
多くの場合に共通しているのは波模様のように動き、時間の経過とともに症状の範囲が広くなり移動する点です。
見える波模様のようなものは眼を閉じても見えます。
閃輝暗点の症状は多くの場合は10〜20分程度、遅くても60分以内には治まる場合が殆どです。
閃輝暗点の症状が治まったあとは片頭痛になることが多く、頭の重さを感じる程度の軽い片頭痛から吐き気や嘔吐を伴う片頭痛まで症状は人それぞれです。
片頭痛は、1日以内に治まる人もいますが2日程度続く方もいます。
原因
閃輝暗点の原因は、脳血管の収縮や拡張により後頭葉の血流が悪化し、脳機能が低下するためです。
脳血管が収縮や拡張する原因は以下のものが考えられます。
- 低血糖
- 寝不足・睡眠不足
- ストレス
- 喫煙
- コーヒーやアルコールの摂取
- チョコレートやナッツ類の食べすぎ など
何度も閃輝暗点が起こる方は一度原因となるものを避けてみましょう。
受診の目安
閃輝暗点は自然消滅するため、病院へ行かなくてもよいと考える方もいますが、以下のような場合は受診をおすすめします。
基本的な受診の目安は以下のとおりです。
- 初めて閃輝暗点が起きた
- 閃輝暗点のあとに頭痛がない
- 回数が増えた
- いつもの閃輝暗点の見え方とは違う
- 症状が収まらない
初めてであれば、閃輝暗点か他の病気か分からない方もいるでしょう。
そんなときには片目ずつ覆って、見える異常が片目だけなのか両目なのか確認してみましょう。
片目ではなく両目で同じ異常が見えている場合、閃輝暗点の可能性が高いです。
閃輝暗点は脳血管の縮小と拡張が原因で起きるため、片目ではなく両目で同じ異常が見える症状です。
注意すべき疾患
基本的に閃輝暗点が治まったあとに頭の重さや痛みなどの片頭痛の症状があれば、様子見をしてよいとされています。
しかし、閃輝暗点が治まったあとに片頭痛の症状がでなかった場合、別の疾患が原因である可能性も考えられます。
ここでは特に注意すべき疾患である網膜剥離と頭蓋内疾患について紹介します。
網膜剥離
網膜剥離とは、網膜が眼球の壁から剥がれ視力が低下する病気です。
角膜や水晶体から入った光が網膜に当たり電気信号に変換され、視神経を介して脳に刺激を伝えてものが見えている状態です。
網膜剥離は、大きく網膜に開いた穴が原因の裂孔原性網膜剥離と、それ以外の非裂孔原性網膜剥離に分かれています。
網膜剥離の多くは裂孔原性網膜剥離であり、初期症状に黒い点が飛んで見える飛蚊症や視野の一部が光って見える光視症が閃輝暗点に間違われることがあります。
簡単な見分け方としては、視野の異常が両目に現れているか片目のみに現れているかです。
両目であれば閃輝暗点、片目であれば網膜剥離の可能性があります。
網膜剥離を放置すると視力が低下し、最悪の場合失明する可能性があります。
自然治癒することは殆どないため、できるだけ早く治療を受けるようにしましょう。
頭蓋内疾患
頭蓋内疾患とは、脳梗塞や脳腫瘍、脳循環障害などの脳に関する疾患のことです。
閃輝暗点を何度も繰り返す場合は、頭蓋内疾患の可能性があるため、脳に異常がないか検査を受けてみましょう。
頭蓋内疾患の可能性が疑われる場合、MRI検査やCT検査などの精密検査が必要です。
また、心臓に機械弁が入っている方で閃輝暗点が現れた場合は脳梗塞の可能性があるため、できるだけ早く病院で検査を受けましょう。
頭蓋内疾患は放置すると身体の麻痺や、最悪の場合命を落とす可能性があります。
閃輝暗点が頻発する、頭痛がないなど少しでも異常があればすぐに病院での精密検査が必要です。
閃輝暗点の予防方法
現在、閃輝暗点そのものに対する治療法はありません。
そのため、できるだけ原因となる行動などを避け、予防する必要があります。
それでは、閃輝暗点の予防方法を6つ紹介します。
特定の食べ物や飲み物に注意
特定の食べ物や飲み物を摂取した後に閃輝暗点が起きる場合は、それらの摂取を控えるようにしましょう。
閃輝暗点を誘引しやすいといわれている食べ物や飲み物は以下のとおりです。
- チョコレート
- チーズ
- ワイン
- ココア
- コーヒー
- お酒 など
上記で挙げた以外にも、カフェインが含まれる物を飲み食いすることで閃輝暗点が起きることがあります。
もし、特定の食べ物や飲み物を摂取したあとに閃輝暗点が起きる場合は、一度医師に相談してみましょう。
可能であれば飲み食いすることは避けた方がよいでしょう。
過度なストレスを溜めない
過度なストレスも閃輝暗点が起きる原因です。
ここで注意が必要な点は、過度なストレスを感じているときだけに閃輝暗点が起きるのではなく、ストレスが開放される仕事終わりや休日に起こりやすい点です。
過度なストレスは自律神経のバランスが崩れることで血行不良を起こし、ストレスが開放されるタイミングで脳血管が拡張することがあります。
閃輝暗点は脳血管収縮による血行不良や脳血管拡張が原因で起きるため、過度なストレスで閃輝暗点が起きる可能性があります。
可能であれば、ストレスの原因を取り除くことが理想です。
しかし、どうしても難しい場合はストレッチを行い血行不良の改善を目指したり、日常生活でかかるストレスを軽減させるために全自動家電の導入を検討したりしてみましょう。
栄養素を補給する
栄養バランスのよい食事は閃輝暗点の予防にも期待できます。
特に閃輝暗点の予防をしたい場合は、マグネシウムとビタミンB2を積極的に摂るようにしましょう。
マグネシウムとビタミンB2が含まれている食材と期待できる効果は以下のとおりです。
含まれている食材 | 期待できる効果 | |
---|---|---|
マグネシウム | 大豆製品・魚介類・海藻・玄米など | 脳血管の緊張改善と炎症予防 |
ビタミンB2 | 魚・卵・乳製品・納豆・緑黄色野菜など | 血流改善・片頭痛頻度減少 |
このような栄養素を日々の食事から摂取することが理想ですが、難しい場合はサプリメントも活用しましょう。
しっかり睡眠をとる
睡眠不足はストレスが溜まるだけではなく、脳血管の痙攣につながり血流が減少することで閃輝暗点につながりやすくなります。
理想の睡眠時間は6〜8時間です。
この6〜8時間でできるだけ良質な睡眠を取り、疲れを取るためには毎日の規則正しい生活リズムや定期的な運動習慣が必要です。
生活リズムを整え、しっかりと睡眠を取ることは閃輝暗点の予防以外にも健康維持にもつながるでしょう。
喫煙を控える
喫煙を控えることは閃輝暗点の予防だけではなく、さまざまな病気の予防につながります。
タバコに含まれるニコチンやタール、一酸化炭素などの有害物質は血管の収縮や血圧上昇などをもたらすため閃輝暗点が起きる原因になります。
タバコは百害あって一利なしといわれているため、閃輝暗点防止としてこの機会に禁煙を検討してみましょう。
片頭痛対策をする
閃輝暗点は片頭痛の前兆として現れることが多く、片頭痛対策をすることで閃輝暗点も予防できる場合があります。
以前の片頭痛予防は毎日の服薬が主流でしたが、最近は注射による予防治療を行っている病院もあります。
閃輝暗点が起きた時点で次の片頭痛を予測し先に頭痛治療薬を服用する方がいますが、この方法には注意が必要です。
飲み方を間違えると頭痛を悪化させる原因になります。
薬の服用タイミングや方法は必ず医師の指示に従いましょう。
閃輝暗点は何科を受診する?
もし、閃輝暗点が起こって病院に行きたいと思った場合、何科を受診すればよいか迷うかもしれません。
閃輝暗点が起こった際の病院は頭痛の有無によって異なります。
それぞれ詳しく紹介していきましょう。
頭痛を伴う場合
片頭痛の前兆に起こる閃輝暗点だと分かっている場合は、急いで受診する必要はありません。
片頭痛と確定しない状態で頭痛を伴う場合は、脳神経外科・脳神経内科を受診しましょう。
さまざまな検査をなどを行い、閃輝暗点が起きた原因を突き止め、必要な治療を行います。
多くの場合は閃輝暗点が起きたあとに頭痛が起きますが、人によっては頭が重い・眼の奥が痛い・顔が痛いといった症状がでる場合があります。
閃輝暗点が起きたあとになんらかの身体の不調が現れたら、まずは脳神経外科・脳神経内科を受診して検査を受けましょう。
頭痛を伴わない場合
頭痛を伴わない閃輝暗点は、網膜剥離か脳梗塞や脳腫瘍などの頭蓋内疾患の可能性があります。
まずは頭蓋内疾患の可能性を探るため、脳神経外科・脳神経内科を受診してMRI検査やCT検査を受けましょう。
閃輝暗点が起きたあとに頭痛などほかの症状がなければついつい放置してしまいがちですが、頭蓋内疾患は早期発見・早期治療が基本です。
早く治療をすることで後遺症リスクも少なく社会復帰できる確率が上がります。
もし、頭蓋内疾患の心配がなかった場合、眼科への受診を勧められる場合があります。
これは網膜剥離の可能性があるためです。
網膜剥離も早い治療で元の視野や視力に戻れる可能性が高いため、できるだけ早く病院を受診しましょう。
閃輝暗点のセルフチェック
閃輝暗点は簡単なセルフチェックが可能です。
まず、閃輝暗点が起きたら順番に片目を塞いでみましょう。
右目でも左目でも同じ閃輝暗点の症状が出ていれば、脳に原因がある閃輝暗点の可能性が高いです。
脳神経外科・脳神経内科を受診しましょう。
一方で、どちらか片目のみに閃輝暗点の症状が出ている場合は、閃輝暗点ではなく網膜剥離など眼に原因がある可能性が高いです。
眼科を受診しましょう。
このような違いが出るのは、閃輝暗点のような症状が出る原因が違うためです。
閃輝暗点は脳の後頭葉が原因であるため、左右の眼で違いがでることは殆どありません。
しかし、網膜剥離などの目の病気は左右の眼で同時にほぼまったく同じ症状がでることは稀です。
もちろん、ここで紹介したのはあくまでもセルフチェックする方法で、絶対的な診断ではありません。
例外などもあるため、閃輝暗点が初めて起こった、頻繁に起きる場合は迷わず病院を受診しましょう。
まとめ
閃輝暗点とは、突然視界のなかにギザギザ、きらきらしたような光の波が見えて少しずつ四方に広がり、10〜20分程度で自然消滅する現象です。
閃輝暗点の原因は、脳血管の収縮や拡張により後頭葉の血流が悪化し、脳機能が低下するためです。
多くの場合は、片頭痛の前兆症状となっていますが、場合によっては網膜剥離や頭蓋内疾患など別の病気が隠れている可能性があります。
閃輝暗点が起こった場合には、脳神経外科・脳神経内科か眼科を受診しましょう。
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