鼻水・鼻詰まり・くしゃみ・目のかゆみなどの症状があり、毎年春頃に憂鬱になるため花粉症に悩んでいる方もいるでしょう。
花粉症は、アレルギーの一種とされています。
花粉は晴れた日に飛散しやすいイメージがありますが、雨の日に花粉症の症状が強くなると感じる方もいて、実際どうなのか気になる方もいるでしょう。
この記事では、花粉の基礎知識から雨の日の花粉の動きや対策について紹介します。
花粉症に悩んでいる方、雨の日の花粉対策について知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
花粉の基礎知識
まずは花粉症の原因である「花粉」の基礎知識について紹介します。
花粉とは
そもそも花粉とは、花のおしべ部分にある袋(葯)のなかで作られる粒です。
人間でいう男性の精子と同じ役割を持っており、風や虫、鳥などの力を借りてめしべに受粉することで種が作られます。
花粉は植物が子孫を残し、繁殖するうえで欠かせないものですが、人間にとっては花粉症の原因です。
花粉症を引き起こすものは、春に飛散するスギ花粉やヒノキ花粉が有名ですが、それ以外にも60種類程確認されています。
飛散時期
花粉症といえば、「春」のイメージが強いかもしれませんが、花粉自体は季節問わずさまざまな種類のものがいつでも飛散しています。
春のイメージが強いのは、特に多くの方が花粉症を発症する原因となるスギやヒノキ花粉の飛散量がかなり多いためです。
地域によって飛散する花粉の種類や時期は多少異なるため、以下の表では特に患者さんが多い7種類の花粉に絞って関東の飛散時期を紹介します。
花粉 | 飛散時期 | 特に飛散が多い時期 |
---|---|---|
ハンノキ属 (カバノキ科) |
1月中旬~6月 | ー |
スギ | 10月~5月
7月上旬~中旬 |
2月下旬~4月中旬 |
ヒノキ | 2月~6月中旬 | 3月下旬~4月中旬 |
イネ科 | 3月中旬~10月 | 5月~6月初旬 |
ブタクサ属 (キク科) |
8月中旬~10月 | 9月~中旬 |
ヨモギ属
(キク科) |
8月中旬
9月~10月中旬 |
ー |
カナムグラ
(アサ科) |
8月中旬~11月初旬 | 9月中旬~10月初旬 |
スギやヒノキが原因の花粉症患者数が最も多いため、花粉症といえば春と思う方が多いのでしょう。
観測方法
花粉の観測方法は、大きくは機械による自動観測とガラス版に付着した花粉を数えるダーラム法の2つです。
日本気象協会ではダーラム法を採用しており、特に患者の多いスギとヒノキが飛散する1月下旬から5月上旬まで観測を行っています。
ダーラム法とは、風通しがよく雨が当たらない場所に設置された捕集器にワセリンを塗布したスライドガラスを設置し、付着した花粉の種類や数を観測します。
ダーラム法は、スギ花粉やヒノキ花粉などの種類を見分けることができる点がメリットで、目視で花粉を数えるアナログ方式であるため精度が高いとされています。
よくニュースなどで耳にする花粉の飛散時期はダーラム法で計測されたものです。
もう一つの機械による自動観測は、飛散している花粉の種類を見分けることはできませんが、リアルタイムの飛散量が計測できます。
ネットなどで、リアルの花粉飛散情報などを公開している場合はこちらの自動観測の結果を使用している場合が多いです。
花粉症とは
花粉症とは、特定の花粉が原因で引き起こされるアレルギーの一種であり、症状によってアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎に分かれています。
それぞれの症状は以下のとおりです。
- アレルギー性鼻炎:鼻水・鼻づまり・くしゃみなど
- アレルギー性結膜炎:目のかゆみ・涙など
最近は時期ごとに複数の花粉に対してアレルギー症状が現れる方もいて、その場合は1年中花粉症の症状に悩まされることになります。
雨の日の花粉の動き
雨の日は飛散する花粉の量が少ないときいたことがある方もいるでしょう。
それは事実なのでしょうか。
また、雨の日こそ注意が必要といわれる理由について紹介します。
雨の日は花粉が減少
雨の日には飛散する花粉が減少するのは事実です。
前述したように、もともと花粉は受粉をするために飛散するものですが、湿度が高く長距離の飛散が難しい雨の日はおしべが閉じるため花粉の量が減ります。
また、すでに飛散した花粉も湿度や雨によって遠くまで飛ばず、地面に落下する点も体感の花粉量が減少する理由です。
翌日晴れると花粉が増える
雨の日は花粉が減少するため、嬉しいと感じるかもしれませんが油断は禁物です。
雨の日の翌日に晴れると飛散する花粉量は大幅に増加し、場合によっては数十倍〜数百倍の花粉が飛散するともいわれています。
雨の翌日に飛散する花粉量が増える原因は、通常飛散する花粉量に加えて2つの理由があるためです。
1つ目は、湿気や雨によって地面に落下した花粉が晴れて乾き、再び飛散します。
2つ目は、花粉は雨に濡れると膨張して破裂し、1つの花粉が複数の破片となり晴れた日に飛散するからです。
雨の日に花粉症の症状が酷くなる場合もある
雨の日は花粉の飛散量が減少しますが、なかには雨の日こそ花粉の症状がひどくなる方もいるでしょう。
花粉症の症状がひどくなるおもな理由は以下のとおりです。
- 雨の日は花粉の飛散量が減少するからと花粉症対策がおろそかになる
- 気圧が下がり身体の不調をきたすことで花粉に対して敏感になる
- 室内や衣類に残っていた花粉に反応する
- 雨に触れて破裂した細かい花粉がマスクを通過してしまう など
雨で花粉の飛散量が減少するからといって油断は禁物です。
雨の日も必要な花粉対策
雨の日は花粉の飛散量が減少しますが、低気圧による身体の不調や破裂した花粉がマスクを通過するなど、症状が悪化する方もいます。
そのため、雨の日だからといって花粉対策をおろそかにするのはNGです。
最後に、雨の日でも必要なおすすめの花粉対策を8つ紹介します。
マスク・メガネの着用
花粉対策の基本は花粉を体内に取り込まないことであるため、外出時のマスクやメガネの着用は花粉対策に有効であり、基本です。
マスクを着用すると吸い込む花粉の量を3分の1から6分の1に減らすことができます。
ただ、雨上がりに破裂して細かくなった花粉はマスクをとおり抜けることがあります。
また、風が強い日にはきちんとマスクをしていても花粉が入り込むことが多いです。
そのため、マスクを正しい形で着用しても完全防備できるわけではないと考え、さまざまな対策を同時に行うことをおすすめします。
メガネは、花粉症用ではない普通のタイプのメガネでも着用することで花粉対策になります。
通常のメガネで40%、花粉対策用のカバー付きメガネで65%程度の花粉を防止できます。
加湿器などによる湿度管理
花粉対策として、空気清浄機の使用はよく挙げられますが、加湿器などによる湿度管理も2つの理由から花粉対策に有効です。
1つ目は家に侵入した花粉の飛散防止ができる点です。
着用する衣類の布質などに気を付けても家に持ち込む花粉を0にすることは不可能であり、持ち込んだ花粉が飛散していると家のなかでもずっと花粉症の症状に悩まされます。
そこで加湿器などを使用すると、湿度を高く保つことで花粉に水分が付着し、重くなって飛散できなくなり床に落ちます。
これは、雨の日は湿度で花粉が遠くに飛散できない状態を家のなかでもつくるイメージです。
2つ目は、バリア機能の正常化です。
乾燥といえば冬のイメージかもしれませんが、春も冬と同様に乾燥する季節となっています。
そのため、のどや鼻の粘膜が乾燥し花粉などを体内に取り込みやすい状態です。
加湿して粘液バリア機能を正常に保つことで、侵入した花粉が体内に入る数を減らし、アレルギー症状の緩和が期待できるでしょう。
規則正しい生活
花粉症を悪化させないためには自律神経を整え、粘膜バリア機能を正常に保つ必要があります。
粘膜バリア機能は先程も触れたとおり、加湿以外にも規則正しい生活を送ることにより正常化できます。
また、規則正しい生活は自律神経を整えてくれるため、身体の不調を感じにくく花粉症の悪化を予防できるでしょう。
規則正しい生活は以下の点に注意してみましょう。
- ストレスを貯め過ぎないように適度に発散する
- 腹八分目を意識して暴飲暴食は避ける
- 過度な刺激物の摂取を避ける
- 十分な睡眠時間の確保
- 禁煙
- 飲酒は適量 など
初めからすべてを意識するのは難しいため、まずは1つや2つなどできそうなものから始めてみましょう。
バランスのとれた食生活
バランスの取れた食生活は、免疫力を高めてくれるため花粉症の予防効果が期待できます。
それだけではなく、規則正しい生活にもつながる部分でもあるため、ぜひ意識してみましょう。
花粉症対策の食事は和食がおすすめといわれています。
以下の表で特に摂取したい食材や栄養素について紹介します。
食材 | 栄養素 | 期待できる効果 |
---|---|---|
青魚類
(イワシ・アジなど) |
EPA
DHA |
花粉症を含むアレルギー症状を抑える |
野菜類
(特にきのこ・緑黄色野菜など) |
ビタミンC
βカロテン |
ヒスタミンの発生を抑える
抗酸化作用 免疫力の向上 |
発酵食品 (ヨーグルト・納豆など) |
乳酸菌など | 腸内細菌を整えアレルギー症状の緩和
免疫の過剰反応 |
根菜類・海藻類 | 食物繊維 | 腸内細菌を整えアレルギー症状の緩和 |
まずは、朝ごはんにヨーグルトを追加する、夜ごはんの味噌汁にわかめを入れるなどこちらもできることから始めましょう。
ドアや窓を閉める
換気は大切なことですが、花粉を多く家のなかに取り入れてしまう原因になります。
花粉の飛散が多い時にはできるだけドアや窓を開けての換気は避けましょう。
室内の換気は、空気清浄機などを使用すると室内の花粉除去もできるため効果的です。
こまめに掃除する
どれだけ花粉を室内に持ち込まないように注意しても、必ず花粉は侵入してきます。
加湿器による加湿で床に落ちたり、自然と床に落ちたりした花粉は小まめに掃除をして取り除いておきましょう。
乾燥したり、人が歩く風でまた花粉が舞い上がってしまったりする可能性もあります。
掃除をする際には、空気をかき回してしまう掃除機ではなく、濡れているタイプのクイックルワイパーがおすすめです。
帰宅後は玄関で花粉を落とす
家のなかに持ち込まれる花粉の多くは、玄関から人に付着して入ってきます。
帰宅後は玄関で帽子や上着を脱いでハンガーにかけて玄関に置いておくのがおすすめです。
これで花粉は室内にまで入ってきません。
玄関に上着などを置くスペースがない場合は、ハンディ掃除機や静電気が起きにくい洋服ブラシなどを使って花粉を落としてから室内に入りましょう。
ここで忘れがちなのがメガネやマスクです。
外で着用したメガネやマスクにも当然花粉が付着しているため、玄関で外して室内には持ち込まないようにしましょう。
うがい・手洗いの徹底
手は外でもむき出しの状態であり、花粉が付着する部分です。
帰宅後はできるだけ早く、ハンドソープを使ってしっかりと手洗いをしましょう。
うがいも、口や喉に付着した花粉を洗い流せるため、手洗いのときに忘れずにセットで行いましょう。
また、洗顔も顔の花粉を洗い流せるので有効です。
まとめ
花粉症といえば、スギやヒノキが飛散する「春」のイメージが強いかもしれませんが、花粉自体は季節問わずさまざまな種類のものがいつでも飛散している状態です。
花粉症とは、特定の花粉が原因で引き起こされるアレルギーの一種であり、症状によってアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎に分かれています。
なかには、アレルギー性鼻炎と結膜炎の両方の症状がでる方もいます。
雨の日は花粉の飛散量が減少する傾向にありますが、油断は禁物です。
翌日の晴れた日には、通常どおりに飛散する花粉と破裂して細かくなった花粉、地面に落ちて乾いた花粉などが飛散します。
花粉症対策は常に万全の状態を保つようにしましょう。
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