白目が赤くなるのは、白目が充血しているまたは出血が起きている状態です。
この状態になる原因はさまざまですが、目の中に異物が入り込んだりコンタクトレンズを長時間装用したりすることで引き起こされる場合があります。
この記事では、白目が赤くなる原因について詳しく解説します。
白目が赤いときに疑われる疾患もまとめているため、似たような症状でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
白目が赤いとはどんな状態?
目の表面の毛細血管が拡張すると、白目が充血した状態になります。
睡眠不足で目の充血が引き起こされる場合がありますが、この場合は十分な休息・睡眠をとることで改善されるでしょう。
一方で、目の充血と似た症状として目の出血も挙げられます。
出血の場合は白目の一部または全体が真っ赤に染まるのが特徴で、充血と異なり毛細血管が破れている状態です。
目の出血は充血と違い、疾患が影響している可能性もあるため、症状がなかなか治まらない場合は早めに眼科を受診する必要があります。
白目が赤くなる原因
白目が赤くなる原因として以下の3つが挙げられます。
- 目の中に異物が入っている
- アルコール摂取による反応
- コンタクトレンズを長時間装用した
ここでは上記3つの原因についてそれぞれ解説します。
目の中に異物が入っている
目の中にほこりなどの異物が入ると角膜や結膜が損傷し、白目が充血したり出血したりして赤くなることがあります。
まばたきや涙によって異物がなくなれば自然に治まることがほとんどですが、異物が取れない場合や異物が取れた後も白目が赤いままの場合には、眼科を受診して治療を行う必要があります。
アルコール摂取による反応
アルコールには血管を拡張する作用があり、過度の飲酒によって目の表面の血管が目立って充血することがあります。
アルコールが抜けると自然に治まりますが、目の充血が目立つようなら飲酒をやめて様子を見ることをおすすめします。
コンタクトレンズを長時間装用した
コンタクトレンズを長時間装用していると目が乾燥して充血が促進されるため、装用時間を短くしたり、1dayタイプのコンタクトレンズを使用したりするなどの対策が必要です。
コンタクトレンズが不衛生な状態になると目の感染・炎症が起こりやすくなるため、コンタクトレンズ自体のケアだけではなく、清潔な手で扱うなど正しく使用しましょう。
白目が赤いときに疑われる疾患
白目が赤いときに疑われる疾患として以下が挙げられます。
- アレルギー性結膜炎
- 感染性結膜炎
- ぶどう膜炎
- 結膜下出血
- ドライアイや眼精疲労
- 角膜炎
- 翼状片
- 急性閉塞隅角緑内障
ここでは上記8つの疾患について、それぞれの症状や原因、予防法について解説します。
アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎は、花粉やハウスダストなどのアレルギー反応を引き起こす原因物質により生じる結膜炎です。
症状
アレルギー性結膜炎の主な症状は以下の通りです。
- 目が赤い(結膜充血・毛様充血・結膜下出血)
- 目やにがでる(眼脂)
- ゴロゴロする(異物感)
- かゆみ
- 白目がぶよぶよになる
アレルギー性結膜炎にはさまざまな種類があり、花粉症として知られる季節性アレルギー性結膜炎やダニやハウスダストなどが原因の通年性アレルギー性結膜炎、春から秋にかけて症状が悪化する春季カタルなどがあります。
いずれも主な症状は目のかゆみやゴロゴロ感、目やに、充血・出血などですが、重症のアレルギー性結膜炎になると結膜に石垣のような凹凸ができます。
原因
アレルギー性結膜炎の原因はアレルゲン(アレルギーの原因物質)です。
アレルゲンは症状の種類によって異なります。
- 季節性アレルギー性結膜炎:スギ、ヒノキ、シラカバ、ヨモギ、ブタクサなどの花粉
- 通年性アレルギー性結膜炎:ほこり、ダニ、カビ、細菌、花粉など
- 巨大乳頭結膜炎:コンタクトレンズ、ゴミなどの機械的刺激
- 春季カタル:ほこり、ダニ、カビ、細菌、花粉など
いずれも薬物療法による治療が中心となります。
予防法
アレルギー性結膜炎を予防するためには、アレルゲンに触れないことが大切です。
具体的には以下のような予防方法が挙げられます。
- コンタクトレンズの装用を控える
- 花粉が多い日・時間帯の外出は控える
- 花粉防止用メガネやひさしのある帽子を着用する
- 外出後は服についた花粉を十分に落とす
- 手洗いうがいをこまめにする
目や目の周辺を清潔に保つことも大切になるため、むやみに目を触らないようにしましょう。
感染性結膜炎
感染性結膜炎は、細菌やウイルスに感染することで結膜に炎症が起こる疾患です。
症状
感染性結膜炎の主な症状は以下の通りです。
- 結膜の充血
- 粘液性の強いめやに
- 涙が出る
- 目がごろごろする
- 軽度の結膜浮腫
- 小点状の出血斑
- 発熱やのどの痛み
結膜浮腫は、アレルギー反応などにより結膜に水が溜まってしまう疾患です。
白目が水膨れのようになったり盛り上がったりするのが主な症状ですが、赤くなることもあります。
原因
感染性結膜炎の主な原因は細菌による感染とウイルスによる感染の2つに分けられ、以下のような原因があります。
- 細菌性結膜炎
- 流行性結膜炎
- 咽頭結膜熱
- 急性出血性結膜炎
- ヘルペス性結膜炎
予防法
感染性結膜炎は接触感染予防を徹底することが大切です。
接触感染を防ぐためには、手洗い・消毒をきちんと行いましょう。
他の人への感染を防ぐため、手で目をこすったりタオルを共用したりするのは控えるようにしてください。
ぶどう膜炎
ぶどう膜炎は眼球を構成する目の膜であるぶどう膜に炎症が起こる疾患です。
ぶどう膜は以下の3つの組織から構成されています。
- 虹彩:瞳孔の大きさを調整する
- 毛様体:水晶体の厚さを変えてピントを調節する
- 脈絡膜:網膜に栄養を届ける
目にとって重要な役割を果たす組織のため、重症化すると失明してしまうこともあります。
症状
ぶどう膜炎の主な症状は以下の通りです。
- 目が赤い
- 目が痛い
- まぶしい
- 視力が落ちた
- 霧がかったように見える
- 歪んでみる
症状の現れ方はさまざまで、片目だけに症状が現れる場合、両目に症状が現れる場合、両目交互に症状が現れる場合などがあります。
症状の経過としては、だんだんと悪化する場合もあれば、改善したり悪くなったりを繰り返す場合もあるため、目に違和感が生じたらすぐに眼科を受診することが大切です。
原因
ぶどう膜炎は免疫異常により引き起こされる非感染性ぶどう膜炎と、病原菌の感染により引き起こされる感染性ぶどう膜炎の2つに分類されます。
ぶどう膜炎の原因疾患として多いのが非感染性のサルコイドーシスで、次いで原田病です。
サルコイドーシスは多臓器で肉芽腫が現れ、原田病は目の充血や痛み、難聴などが現れます。
これらは目だけでなく全身に様々な症状が現れるため、ぶどう膜炎の症状が出たことがきっかけで病気が見つかる場合も多いです。
予防法
ぶどう膜炎の予防法には以下のようなものがあります。
- 定期的な眼科検診
- 感染症の予防
- 免疫疾患の管理
- ストレスの軽減
- 健康的な生活習慣
ぶどう膜炎は放置すると視力に悪影響を及ぼすことがあるため、症状が現れたらすぐに眼科を受診してください。
結膜下出血
結膜下出血は結膜下の血管が出血するもので、白目部分が赤く染まります。
症状
結膜下出血の主な症状は出血のみで、痛みやかゆみ、目やになどの自覚症状は伴いません。
1~2週間程度で自然吸収されますが、2~3か月ほどかかるものもあります。
目が見えにくくなったり視野が狭くなったりすることはありませんが、このような症状を伴う場合は眼科医による診察が必要です。
原因
結膜下出血は原因が不明な場合も多いですが、以下のようなものが挙げられます。
- 外傷や手術などの眼局所のもの
- 出血性血液疾患や循環器系疾患、代謝性疾患、代償性出血など全身性のもの
嘔吐や咳、くしゃみなどで急激に静脈のうっ滞が起こることで引き起こされる場合もあります。
予防法
結膜下出血は一度出血すると再出血する可能性があります。
再出血を防ぐために、しばらくお酒や長風呂は控えましょう。
ドライアイや眼精疲労
ドライアイや眼精疲労になると白目が赤くなることがあります。
症状
ドライアイと眼精疲労のそれぞれの症状は以下の通りです。
- ドライアイ:目やに、充血、目の乾き、疲れ、視界がかすむなど
- 眼精疲労:目の痛み、疲れ、頭痛、肩こり、吐き気など
上記のほか、白っぽい目やにが出たり視力が低下したり、目がしょぼしょぼしたりといった症状が現れる場合もあります。
原因
ドライアイと眼精疲労のそれぞれの原因は以下の通りです。
- ドライアイ:長時間にわたるパソコン作業、目の乾燥、コンタクトレンズの使用、加齢
- 眼精疲労:慢性的な目の酷使、ストレスの蓄積、近視や乱視などの屈折異常
またドライアイは眼精疲労の原因にもなり、眼精疲労の6割にドライアイの症状が現れるといわれています。
予防法
ドライアイと眼精疲労は以下のような方法で予防できます。
- 意識的に瞬きの回数を増やす
- ブルーライトを遮断する眼鏡を着用する
- 加湿器を使用する
- 適度に目を休ませる
目の酷使が原因で眼精疲労が引き起こされるため、目を適度に休ませることが大切です。
角膜炎
角膜炎は角膜が炎症を起こした状態です。
点眼治療により改善できますが、重症化すると失明する恐れがあるため、症状が出たらすぐに眼科を受診しましょう。
症状
角膜炎の主な症状は以下の通りです。
- 目の違和感
- 涙が出る
- 目の痛み
- 充血
- 目やに
- 視力障害
角膜は知覚が敏感な部位のため、上記のような自覚症状が強く出やすい傾向にあります。
放置すると視力障害が残る可能性があるため、早めの診断・治療が必要です。
原因
角膜炎は主にウイルスや細菌の感染が原因で引き起こされます。
角膜が何らかの原因により傷つけられると、その傷から細菌などの病原体が入り込み炎症が起こります。
コンタクトレンズを普段使いしている人の場合、洗面所や手洗い場などで菌に触れ、レンズを装用する際に細菌性角膜炎に感染するケースもあるため注意が必要です。
予防法
角膜炎を予防する方法としては、以下が挙げられます。
- コンタクトレンズは正しくケアして使用する
- 目をむやみにこすったり触ったりしない
- 目薬がまつげにつかないようにする
コンタクトレンズは正しい方法でケアを行わないと、ウイルスや細菌に感染するリスクが高まってしまうため注意しましょう。
また定期的に眼科を受診することも大切です。
翼状片
翼状片は鼻側の眼球結膜から角膜頂点に向かって、三角形状に増殖組織が伸びる疾患です。
目が充血しているように見えますが、良性腫瘍のためほくろと同じような分類になります。
症状
翼状片は見た目が変化するのが主な症状で、初期にはわかりやすい自覚症状がほとんどありません。
しかし悪化すると炎症部分が盛り上がり、目のゴロゴロ感や充血などを引き起こします。
通常痛みは伴いませんが視力に悪影響を及ぼす恐れがあるため、早めに受診・治療したほうがよいでしょう。
原因
翼状片の主な原因は紫外線と考えられています。
農業や漁業など直接紫外線にさらされる時間が長い人ほど、翼状片を発症しやすい傾向にあります。
予防法
翼状片を予防するには、紫外線にさらされる時間を短くすることが大切です。
例えばサングラスや帽子の着用などが挙げられます。
急性閉塞隅角緑内障
急性閉塞隅角緑内障は眼圧が急激に上昇する疾患で、急性緑内障発作とも呼ばれます。
目や見え方に問題がなかった方や眼科を受診したことがない方が発症するケースが多いです。
症状
急性閉塞隅角緑内障の主な症状は以下の通りです。
- 頭痛
- 目の痛みやかすみ
- 充血
- 吐き気や嘔吐
通常の緑内障は視界に見えない部分が出現したり、視野が狭くなったりといった症状が現れますが、急性閉塞隅角緑内障の場合は緑内障とは異なる激しい症状が現れます。
原因
急性閉塞隅角緑内障の原因は眼圧が上がってしまうことです。
眼球内には房水という透明な液体が流れており、内側から適切な圧力をかけて眼球を丸い形に保つ役割を果たしています。
房水は虹彩と水晶体の間から排出されて血管に吸収され、作られる量と排出量が釣り合うことで一定の眼圧を保っています。
しかし閉塞隅角が生じると房水が排出されづらくなり、眼圧が急上昇してしまうのです。
眼圧上昇の原因となる隅角を狭くする要因として、以下のようなものが挙げられます。
- 市販薬に含まれる成分
- 手術や胃カメラの際の麻酔薬
市販薬のかぜ薬や抗ヒスタミン薬、睡眠薬、手術や胃カメラの麻酔薬などに含まれる抗コリン作用(副交感神経系の作用をブロックしてリラックスできない状況を作る作用)を持つ成分により急性閉塞隅角緑内障が引き起こされる場合があります。
予防法
急性閉塞隅角緑内障の予防には、白内障手術が役立ちます。
白内障手術では濁った水晶体を除去し、天然のものよりも薄い人工の眼内レンズを入れるため、眼圧を下げやすくなります。
まとめ
白目が赤くなる原因として、目の中に異物が入っていること、コンタクトレンズを長時間装用していること、アルコール摂取の反応によるものなどが挙げられます。
また白目が赤くなった場合は今回解説した8つの疾患のうちいずれかが疑われることもあるため、なるべく早めに眼科を受診したほうが良いでしょう。
大塚眼科クリニックでは、眼科一般や白内障、緑内障など幅広い診療に対応しています。
目の違和感や痛み、充血などの症状でお悩みの方はぜひ一度ご来院ください。